「スポーツマンシップ」
ゆうべのジロ・デ・イタリア19ステージ。ゴール前に起こった奇跡のようなすばらしいシーンにひどく感動しました。
残り10キロ、逃げ集団からアタックしたクイックステップのスペイン人ファンマヌエル・ガラテ。マークに行くのがCSCのドイツ人イェンス・フォイクト。同じCSCのマリアローザ、イヴァン・バッソは後続集団で有力どころを引き連れている状況。
フォイクトはずっとガラテの後ろについていたので、おそらく逃げをつぶそうとしていたのかもしれません。一度だけ前に出ましたが、すぐガラテが先頭へ。
残り1キロをきってもその体制は変わらず。こういう状況は後ろにいる方が絶対に有利。いつ仕掛けるかと思って見てました。
残り300メートル。フォイクト(写真左)が並んで、ガラテの背中を叩く。その後握手。
当然見てる方としては、「今まで引いてくれてありがとう。じゃ先に行くね」のサインだと思うじゃないですか。でも次の瞬間、まったく逆の事が。
なんとガラテが単独先頭に。フォイクトがした合図は「行け」だったのです。
解き放たれたかのようにガラテが単独でゴール。ゴールする直前、後ろを振り返ってフォイクトを指差して、健闘を讃えました。
ゴールが近づいてきた時にフォイクトが無線で監督と話していました。監督が何と言ったか分かりませんが、マリアローザは安泰な状況なので、おそらく「GO」だったんじゃないでしょうか。そして残り1キロ過ぎた時、フォイクトの心の中は葛藤で、はち切れそうな状況だったんじゃないでしょうか。
フォイクトの様子を見ていると簡単に勝てたのは明らかです。でも自分が前を引かなかったから勝つ資格がないという、なんか日本人的な?潔さというか心意気が最高に爽やかな気持ちになりました。ビデオで何度見直しても涙が出てきます。
こんな人間味あふれるロードレースが大好きです。スポーツマンシップってこういう事じゃないんですか。
“スポーツマンシップ”や“フェアプレー”なんて言葉だけ。勝敗や判定が原因で戦争になったり、ペナルティーキックをもらうためにわざと倒れたり、審判の見てないところで何かやるような、これからワールドカップが始まる某競技はどうも好きになれません。
今夜はいよいよチマコッピ(ジロが通過する標高が最も高い峠)のガビア峠。最後まで見届けるつもりです。
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