きょうはちょっとタフなこと書きます。
感じ悪いかもしれない。でも事実なんだから仕方ない。
犬に興味がない人はこの話しに立ち入らないでほしいです。
いままで溜まっていたドロドロしたものを吐き出して、終わりにしよう。
joがうちに来たのはたまたま。
大和市の某有名ブリーダーで仔犬の予約をしましたが、母犬が不受胎でした。
ガッカリでしたが、ちょうど関西に良い血統の仔犬がいるとのことで、飛びついてしまった。
2000年1月生まれの女のコ。
名前をjoにした。
「お嬢さんのjoです」というのは人に説明しやすかったためで、ほんとうは若草物語に登場する男勝りの次女、ジョーからとったものです。
さて、これから波乱の犬生が始まるわけです。
1歳時は体に湿疹ができやすかったですが、特に問題もなく順調でした。
2001年9月、生後1歳8カ月。散歩中に歩様が変だと思ったので、そのまま近所の病院に連れて行って診てもらいました。
レントゲンを撮ってもらった結果、診断は股関節形成不全。
骨盤と大腿骨のつなぎの部分が浅く、慢性的に亜脱臼になり、歩行困難になる病気です。
joはヒザも脱臼しやすい状態なので、今後は激しい運動は控えるように言われました。
しかしこの時点ではあまり深刻に考えてませんでした。大型犬は股関節形成不全になりやすいと聞いていたので。
そのひと月後、旅行に行くため、ブリーダーにjoを預かってもらうことに。
預けた時に、股関節形成不全の件を言ったんです。
別に補償してほしいとか、そんな気は全然なく、単なる報告のつもりでした。
帰ってきてjoを迎えにいくと、私たちの旅行中に大学病院で診てもらっていたようです。
そしてこう言われました。
「股関節形成不全の判定は診た人によって基準がまちまち。joの場合はごく軽いもので、股関節形成不全の定義には当てはまらず、全然問題ない」
そしてどういう根拠かわからなかったんですが「フラットは我慢強いんです」とも。
そのとき、なんとなくブリーダーの態度が不自然だなぁと感じてました。
2002年5月、joの歩き方は良くなりません。ほんのちょっとなんですが、びっこをひいています。
そんなとき、同じ区内に股関節のエキスパートの山口先生がいることを知りました。
たまたまなんですが、先生がいる江東区大島の「やまぐちペットクリニック」に世田谷から診察に通っていたフラット(カレンちゃん)の飼い主さんが、そのころ私がやっていたjoのホームページを見て、なんとなく家の近くの公園に来たら、これまた偶然、散歩中だった私たちとjoを見かけ声をかけていただきました。
それでカレンママから評判を聞き、さっそく病院へ行ったわけです。
診断結果はやはり股関節形成不全。しかも重症。
いろいろ先生とお話しをして、いずれ歩行が難しくなるといわれ愕然。
最初にほかの病院で撮ってもらったjoのレントゲン写真を持参し見てもらったところ、この写真をみて股関節に異常がないという獣医は考えられない、とも。
若い年齢での症例の写真は貴重だということで、先生に渡しました。
股関節形成不全は先天性の病気なので、繁殖にするわけにはいきません。
残念なんですが、命にかかわる病気ではないので、まず最初に避妊からと考え、手術を受けました。
それにしても...
自分が信用していたブリーダーに嘘をつかれた。
なんとなく預けたときの態度がおかしかったので、それ以来、疎遠になっていました。
やっぱりという気持ちもありましたが、でも寂しいですね。
生き物でつながっている人間関係、単に売り買いで終わるのでなく、長い間の人と人の正直なつながりが続くものだと思っていました。
ただ本当のことを言ってくれたらよかったのに。
joは自分が飼わなくても存在するわけです。
おまえ、ウチに来てよかったな。
人工股関節の手術は一度に両方できないので、1年かけて片方ずつ行いました。
一度、手術を見にいきましたが、人間用とかわらない手術室と設備。
山口先生は数人のグループで股関節疾病の最先端治療法を研究していて、たびたび海外で研究発表もしています。
ガラス張りの手術室の外には、山口先生の師匠といえる先生がいて、私に、「大丈夫、ほら笑ってるよ」と。
手術室の中には、おそらく経験の浅い獣医師が数人いて、じっと手術を観察しています。
山口先生は手本を見せながら、リラックスしているのがわかります。
人工股関節での治療は数年前から驚異的に進歩しています。
術前はオンナ座りだったのが、術後はちゃんとお座りができるように。
大変健康で、歩様は完璧。先生も感心するほどでした。
その間、joの母犬のオーナーに直接、joの股関節のことを報告。
ブリーダーではなく個人でした。
ほかの兄弟たちが心配なので、告知するのが義務ですよ、と言ったところ、数日後、明らかに動揺した感じで、みんな普通に歩いているので大丈夫ですという返事が。ほかの飼い主に告知したかどうかも言いませんでした。
あぁ、この人と話しても不毛だ。
股関節形成不全は見ただけでは分かりません。
一般的にはペンヒップ(PennHIPP)方式という検査で診断されます。この方法だと生後16週から検査できるので、早期発見できます。
繁殖した者さえこの病気のこと、この検査方法を知らない。
こんなもんですよ、繁殖の実態なんて。血統書なんてなんの意味もない。
たまたま飼っていた犬が賞をとって、チャンピオン犬をかけ合わせただけ。
おそらくコーディネーターがいて、母犬の飼い主に話しを持ちかけたんだろうと容易に想像できます。
金になると思ったんでしょう。
私がなんでjoの歩き方の異常に気づいたかというと、もともと競馬が好きで、パドックでの馬の歩様をずっと見ていたからだと思います。馬券が当たるかどうかは別にして。
最初に診てもらった先生に、よく気づいたねと言われました。
当時、フラットはまだ珍しい犬種でした。それなのに先天性の病気をもった個体が多かったわけです。
今はどうでしょうか、フラットは決して珍しくありません。
ということは、遺伝的疾病を持った繁殖犬が淘汰されず、その仔犬がどんどん売買されているわけです。
ブリーダーが言った「フラットは我慢強い」という言葉の本当の意味。
みんな脚や膝が痛いのに我慢しているということではないのでしょうか。
当時のジャパンケンネルクラブも無能。ただドッグショーを開催して血統書だすだけ。
遺伝性の病気なんてまったく問題にされません。ようするに大事なのは外見だけ。
ドッグショーなんて規模は違いますが、毎週のように日本のどこかで行われています。
ローカルで優勝してもチャンピオン犬です。
ある日、昭和記念公園のドッグランへjoを連れていったら、あきらかに股関節形成不全が進行して後脚が異常に細くなった、ろくに歩けないフラットがつながれているのを見ました。
近くに飼い主らしき人がいなかったのですが、見ているのが辛かったです。
joもほうっておいたらああなったのかと思うと、人工股関節の手術を受けといて本当によかったと思いました。
その数年後、右前脚の指と爪の間に悪性腫瘍ができたので指を1本切断。
放射線治療を週2回、東大の動物病院で続けたため、再発はしませんでした。
しかしそのあとも、joをなでている時に何度も腫瘍みたいなものを発見しました。そのたびに検査です。そんな感じで現在に至っているわけです。
joは本当に手がかかる子でした。しかしとびっきりの笑顔を見せてくれてました。
少しずつですが犬のいない生活に慣れてきた気がします。
キキやアネラが毎日のように遊びに来てくれるし、気持ちの整理がつくようになってきました。
しばらくは心のリハビリ。
そして将来、また犬を飼うかもしれない。
そしたら大型犬がいいな。
でもフラットは絶対選ばない。
体弱いし、すぐ死んじゃうし。
毎日、腫瘍がないか確認するためにビクビクしながら体をなでるなんて嫌だ。
それに...
フラットはjo以外いないから。
いつも笑顔だったjo、さようなら。
そして、ありがとう。
完。
最初に目に飛び込んできた波打ち際にたたずむJoの写真・・Goodアングルの最高の写真ですね。まるでいまにも語りかけてくるようです・・。そして今まで知りませんでした。Joがこんなにいくつもの病と手術、療養を経験していたなんて・・。最後まで闘いぬいて逝ったんですね・・・。
JoとJoーpapaの勇気とお互いへの信頼と愛情と献身は真似できるものではありません。愛犬と飼い主の出会いは’出会い’そのものが運命だと思います。JoもBest Partnerとめぐり合えて精一杯生き抜いて本当に密度の濃い幸せな人生だったと思います。今でもお邪魔するたびにお店の奥からJoが優雅に登場・・(この言葉がピッタリですね)する気がします。
投稿情報: Kiki-mama | 2007/06/27 13:55
あのいつも穏やかなジョーちゃんが小さい頃からこんなにも沢山の病気と闘ってきたなんて…。初めて知りました。私は犬が大好きでドッグセラピストのライセンスまで取得しました。その勉強をする為に通っていたスクールでは広く浅くではありましたが、解剖学や犬の病気、犬種の特性等、様々な勉強をしました。そこで、私も獣医の先生から大型犬に股関節形成不全が遺伝病である事、その先生が所属するJAHAでは盲導犬の全頭検査をして調査にあたり、もうこれ以上、人間による異常繁殖を減らして行こうと活動をしている事もしりました。ジョーちゃんはまさに、この犠牲者だったんですね…。ペット業界の市場では色が珍しいから、小さくてカワイイから、そんな理由で人気が出るとお金儲けをしようとする知識もない素人ブリーダーが何も考えずに、子犬を産ませる。市場にはケンネルでは認められていない色やサイズの犬達がもてはやされ、高い値段で売買されているのです。先天的な病気を持っていても、それを隠して元気な子犬として、お金儲けの為だけに販売している悪徳ブリーダーは山といます!本当に恐ろしい事です。小さな命をどう思っているのでしょう。ジョーちゃんが身を持って教えてくれたのか
投稿情報: アネラ ママ | 2007/06/27 22:36
みなさま、いつも書き込みありがとうございます。なんかいっぱい吐き出したら楽になりました。今後ともご近所の犬仲間同士、助け合っていけたらと思います。よろひくです。
投稿情報: skaory | 2007/06/28 10:45
2010年5月31日に愛犬のフラットが癌で永眠しました。10歳3カ月。9歳の夏に後足の指に癌が見つかり、指の切除。冬には転移して断脚。それでも元気に走り回っていました。が、春にリンパ腺に転移して大きく腫れてきて、切除しましたが、もう限界だったのかもしれません。美人さんで明るいいい子でしたが、最後は病気でつらかっただろうと思います。でも、死んでしまっても心はいつも一緒にいるつもりでいたいと思っています。癌という病気ががなくなる日が来ますように。
投稿情報: ラブちゃんのママ | 2010/06/08 20:24
>ラブちゃんのママさん
書き込みありがとうございます。
そうですか、愛犬のラブちゃんが虹の橋を渡ったんですね。まだ気持ちの整理がつかないですよね。
ラブちゃん10歳まで生きてくれたんですね。平均より3年も長く一緒にいてくれたんですね。
ラブちゃんは病気の痛みでつらかったかもしれません。でも、どんなにつらくても家族と一緒にいたかったと思いますよ。してあげられることは全部したんですから、きっとラブちゃんはママさんに感謝していると思います。どうかご自分を責めないでください。
ウチもjoを亡くして数年経ち、今は違う犬がいますが、joのことは全然忘れません。
闘病のことばかりをブログに書いていましたが、思い出すのはどちらかというと楽しい出来事ばかりです。時間が経つときっとそうなると思います。
では。
投稿情報: skaory | 2010/06/09 00:05