あと数時間後に迫ったNFLドラフト。
スーパーボウルに次ぐイベントだと思っております。
わがマイアミ・ドルフィンズは昨シーズン、リーグ最低の成績だったので指名順が「いの一番」。
こんなにワクワクするドラフトは今までありませんでした。
なぜ過去形かというと、マイアミは全体1位指名の特権で、ドラフト4日前にミシガン大のOL(オフェンスライン)ジェイク・ロングと契約したからです。
NFLのドラフトで上位指名された大学のスター選手は代理人をたてて高額の契約金を獲得しようとゴネて、貴重なキャンプをホールドアウト。結局最初の一年を無駄にする選手もたくさんいます。昨年がまさにそう。
確かに怪我がつきもののスポーツで、キャンプ中に致命的な怪我を負ってそれっきりという選手もたくさんいます。一度もNFLでプレーをしていないのに大型の契約を欲しがるっていう気持ちも分からないわけではありませんが、そもそも大学のスーパースターがプロで通用するかというと、まったくそんな保障はないのです。
フロントのビル・パーセルズは指名後の契約のゴタゴタを一番嫌っていたようで、ちょっと前から(他チームとの)駆け引きなしでジェイク・ロングとの契約交渉を行っていたニュースは報じられていました。
ジェイク・ロングが全体1位指名にふさわしいポテンシャルかというと、そうではないのかもしれません。
上位指名候補ではディフェンスにタレントが多く、OLのジェイク・ロングは「トップ5位以内」というのがアナリストたちの評価でした。昨年全体3位でクリーブランド・ブラウンズが指名したOLジョー・トーマス(2007プロボウラー)より評価が低いです。
しかし私はチーム事情でオフェンスラインが必要だと考えていたので、ジェイクにマイアミのユニフォームを着て欲しいと思っていましたし、ビデオを見ても忠実に、ホイッスルがなるまで手を抜かず相手をブロックするプレースタイルは好感が持てます。
最下位チームのマイアミの補強ポイントはたくさんあるわけですが、やはり低迷しているオフェンスの構築です。
特にOLで一番重要なLT(左タックル)。リッチモンド・ウェッブが移籍して以来、長いことタレント不足でした。
右利きのQBがパスを投げるとき、ターゲットを探し、ボールをリリースするまでの瞬間、背中がフィールドの左側を向きます。ブラインドサイドといいますが、必然的にこちら側の視界が狭くなります。
守備側はQBにプレッシャーを与えるためにブラインドサイドのラインの一番外側にスピードのあるパスラッシャーのDE(デイフェンスエンド)を配置するわけですが、そのDEに対抗するために強力なLTが必要なわけです。
またランニングプレーの時も、ディフェンスをブロックして走路をこじ開けなければなりません。
いくらいいQB、RB、WRがいてもオフェンスラインの仕事なしに活躍はありえません。
http://www.nfl.com/videos?videoId=09000d5d807f3c34
彼らにスタッツはありません。
出場試合数だけ。
ボールを持ったりパスを受ける資格がないのです。
たまにファンブルリカバー。
一生に一度あるかどうか、ファンブルリカバータッチダウン。
選手生活で公式記録上、一度もボールに触れないプレーヤーなんて珍しくありません。
彼らは相手を掴んだら反則です。どんなときもプッシュ、あるいは腕でのブロックのみです。
パスプレーのときはQBが投げるまで、ボールが置いてあった位置より後ろでディフェンスをブロックし続けなければなりません。前に出たら反則。
QBが投げたボールが直接身体に触れたら反則。
大男たちなのに寡黙で献身的。
アメフトを見るとき、オフェンスラインのブロックに注目すると、きっと凄さが分かると思いますよ。毎プレー、格闘技をやっているのと同じですから。
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さてマイアミですが、ドラフト開始直前に、ジェイソン・テイラーを放出する噂があります。
現在、NFL最強のDEですが、1位指名権との交換に応じるチームがあるのか。
まだまだ目が離せません。